発掘された通知表2015年07月14日 21時18分

発掘された通知表
「物置小屋を整理しとったら、あんたの中学校の時の通知表が出てきたんよ。どこに仕舞ったらええかわからんけえ、あんたが持っとき」
母から差し出されたのは、中学3年生の時の通知表。
今さら手渡されても…と思ったが、一応開いてみた。

やっぱり数学は苦手だったんだなと、再確認。
しかし1学期から3学期にかけて、評価が1段階ずつ上がっていた。自分なりに頑張ったのだろう。
大好きな美術は、全教科の中で一番成績が良かった。

1学期に、ただ一度だけ遅刻があった。
自分では無遅刻だと思い込んでいたので、「なんで遅刻したんじゃろう?」と母に尋ねてみた。
「私が入院しとる時に遅刻したんよ。学校に行ったら、『ラスカルさん、頑張れ!』って、クラスのみんなが言ってくれたって、あんたから聞いたよ」
全然覚えていない。そんな温かい励ましをもらっていたとは……。
夏の暑い盛りに、母は40日間入院していた。
母方の祖母が手伝いに来てくれた時もあったが、私が家事全般を一手に引き受けるようになった。
受験勉強がどれだけ出来たのか覚えていないが、いっぱいいっぱいで級友の声援を忘れてしまったのか。
「お弁当を作ってあげようか?」と、申し出て下さった友人のお母様のご厚意は覚えている。
涙が出るほど嬉しかったが、お気持ちだけ頂いて、丁重にお断りした。
様々な人に支えられて乗り越えられたんだなと、しみじみと思った通知表だった。